[国民は見逃さない]ILC推進大会2019.5.24に参加した地元住民によるまとめ
ILC誘致推進大会(概要・参加した地元住民によるまとめ)
会場:大原市民センター(一関市大東町大原字川内5-1)
日時:2019年(令和元年)5月24日(金)13:45~16:00
・主催「ILC実現を熱望する住民の会」(会長:一関商工会議所会頭 佐藤 晄僖氏)
・壇上には、飯沢匡氏・佐々木朋和氏・千葉進氏(岩手県議会議員3名)、平野直氏(県南広域振興局局長)、佐藤晄僖氏(ILC実現を熱望する住民の会会長・一関商工会議所会頭)、勝部修氏(一関市長)、齋藤清壽氏(平泉町副町長)
・気仙沼、登米、栗原、大崎(?)、奥州、他に(大船渡?陸前高田?)などからも参加。
・定員500名のホールはゆったり満席(300~400人か?)地元では見かけない背広姿の参加者が多数(7~8割)。
・勝部修市長挨拶「来年5月の欧州の計画策定までに、このILC計画が間に合うように・‥」
・平野直県南広域振興局局長挨拶「ILCは県の計画の中でも1丁目1番地」
・飯沢匡県議挨拶「ILCの安全対策について議員で勉強会をした」「岩手・宮城合同で中央に出向いた」「住民との話し合い、住民の理解も大切」
■東京大学 山下了(やました とおる)特任教授講演
・ILCの計画は20年にわたるもので、いろいろ方策を探って来たもの。
・セルン(CERN: Conseil Européen pour la Recherche Nucléaire欧州合同原子核研究機構)スイスのジュネーブの物理学研究所はモデルとすべき大成功例。
・世界の国々の人が集まる場所として日本が期待されている。
・不安・批判の声も多く挙がっていることは承知している。
・ヒッグス粒子や、宇宙・自然の仕組みを究明しようとしている。
・これだけ国際的な大きな事業は日本初となる。
・2019年3月7日の文科省の見解は、8つの省庁を跨いで集約したものだった。
<具体的に省庁名も話された>
・マスタープランの件も含め、多岐にわたる詳細な計画と進捗状況が話され、パワーポイントで大きく映されたが、大量の文字で、前の方の席でもすべては読み切れず、説明も、かなり懇切丁寧ではあったが、聴き取れなかったり、理解しにくかったりした部分があった。【この詳細な計画は、資料としては配布されなかった】
・日米間では早くから協議されていて、米側からかなりの協力が得られる見込み。日仏間や日独間の協議も近く始まる見込み。経費その他の国際分担はこれから決定される。
・実験施設の建設開始は2024年の予定。その前に、課題への対応策を練ったり、住民の理解を得たりしなければならない。
・KEKが公的機関として動けるのでとてもよい。
・みんなで協力し相談して進めるのが日本のILC。中国の場合はトップダウン。
・2019年5月17日のグラナダ国際会議(*1)で、日本のILC計画に期待する方向に決まった。
・2019年10月、仙台で国際会議がある。 10月までのところが大きな山。
・地元の理解が重要だとみんな考えている。
・心配な点は直接ぶつけてほしい。
【山下了氏とのQ&A】
Q トリチウムの危険性が特に懸念されているが、大丈夫か?説明してほしい。
A 【トリチウムの性質について説明した後】一言で大丈夫と言うと、まやかしになる。絶対大丈夫と約束するが、これについては時間をかけて説明をしたい。
Q 安全基準をクリアしたら砂鉄川に放水するというが、その点について確認したい。
A 砂鉄川に放水することはない。放射化したものは、そうしない。
Q 心配している点があれば、話してほしい。
A 放射線については心配していない。ここでのILCとは違うタイプの実験については危険もあるが。 唯一、陽電子の熱を逃がすのが難しい。
Q トリチウム水の濃いのはタンクに、薄いのは放水するのですね。
A 違う。100%違う。原発は、地下水にトリチウムが混じって増えるから問題だが、ILCでは、実験器具内で発生するものなので、かなり違う。病院の医療機器で発生するものも全部、アイソトープ協会などで、ずっときちんと保管されている。
・他、地元2団体の活動発表については、翌日5月25日新聞記事(岩手日報、岩手日日)のとおり。
・最後に、決議文の採択があり、終了。
○今回の「ILC誘致推進大会」の印象
・参加人数は多かった。推進派が多数のような印象は受ける。
・推進派団体が各自治体や議員ら等に呼びかけて集客したかたち。商工団体・行政・議員など推進派の人々の「決起大会」であったが、ILCの種々の懸念材料や経済医療面等への波及効果等々について一般の住民が本当に十分な説明を受けて納得している上での大会開催とは言えず、また「大原まちづくりの会」でもなんの考えもまとまっていない状況なので、真に熱気に溢れた大会【運動】とは言えない、空疎な内実を含んだもののように思われた。
・今回の山下了教授のトリチウム等についての説明や今後の詳細な計画の説明、そしてグラナダ国際会議(*1)で「日本の計画の今後の進捗状況を見る」と決した旨の情報から、今後急速に日本は計画具現に向かって動くものと感じます。
・最低限、放射化物質等種々の懸念材料についての対応策を究明確認していき、地域に禍根を残さぬよう、今後も長い活動となりそうです。
<<ブログ管理者による追加>>
(追加ここから)
【用語の説明】
グラナダ国際会議(*1)
https://www.kek.jp/ja/newsroom/2019/05/21/1900/
KEKが立ち上げた、国際リニアコライダー(ILC)計画の国際分担のあり方等を議論する国際ワーキンググループの会議。第一回会合が5月17日(金)に、スペイン・グラナダで開催。去る3月7日、東京大学で開催されたリニアコライダー国際推進委員会(LCB)の会合で、ILC計画に関する見解が文部科学省から示されました。その中で、国際分担の在り方などについて、国内および国際研究者コミュニティの議論を進める国際ワーキンググループをKEKが主導することへの期待が表明されました。これを受けて、欧州から2名、北米から2名、アジアから3名(日本を含む)で構成される国際ワーキンググループを設立したもの。このワーキンググループは、ILC技術設計報告書の附属文書として公表されたプロジェクト実施計画の2015年7月改定版をもとに、以下の点を検討・更新する。
○建設費用、運転経費の国際分担に関する考え方について
ILC技術設計報告書のコスト積算に基づき250ギガ電子ボルト(GeV)ILC計画の建設コストについて検討し、(a)ホスト国として負担すべき事項と(b)国際パートナーと分担すべき事項に分け、建設モデルを提案すること。運転及び解体経費の分担モデルを提案すること。
○ILCを実現するための組織の在り方について
ILC研究所および同プレ研究所に係る体制及びマネジメントモデルを提案すること。
○残された技術的課題に取り組むための国際分担について
文部科学省のILCに関する有識者会議および日本学術会議所見にて指摘された技術的課題を解決するため、準備フェーズで行うべき、国際協力の可能性も含めた、技術準備計画を提案すること。検討結果は本年9月末までにまとめられ、KEK機構長に提出されます。また、同報告書は文部科学省に提出され、文部科学省と各国政府との議論の際に用いられる予定。
【用語の説明(ここまで)】
<<講演内容や回答に疑問>>(ブログ管理者による追記)
・2024年が建設開始予定だなど,今計画が審査中というのにそこまでよく言えるものだと思いました。
・病院ではトリチウムは使用していませんし,医療用の加速器(サイクロトロン)のPET治療でもトリチウムは発生しません。研究施設で発生するトリチウム汚染水は日本アイソトープ協会で引き取っていた時期がありましたが,今はどうなっているか不明です。長期間貯蔵保管しているとは聞いておりませんでした。多分薄めて放流していたのではないかと思います。もしくは紙に染み込ませて焼却するなど,乱暴なやり方で処理処分していたように思います。(水に流せないものは空へ流す方式です)
岩手日報 2019年5月25
岩手日日 2019年5月25日
会場:大原市民センター(一関市大東町大原字川内5-1)
日時:2019年(令和元年)5月24日(金)13:45~16:00
・主催「ILC実現を熱望する住民の会」(会長:一関商工会議所会頭 佐藤 晄僖氏)
・壇上には、飯沢匡氏・佐々木朋和氏・千葉進氏(岩手県議会議員3名)、平野直氏(県南広域振興局局長)、佐藤晄僖氏(ILC実現を熱望する住民の会会長・一関商工会議所会頭)、勝部修氏(一関市長)、齋藤清壽氏(平泉町副町長)
・気仙沼、登米、栗原、大崎(?)、奥州、他に(大船渡?陸前高田?)などからも参加。
・定員500名のホールはゆったり満席(300~400人か?)地元では見かけない背広姿の参加者が多数(7~8割)。
・勝部修市長挨拶「来年5月の欧州の計画策定までに、このILC計画が間に合うように・‥」
・平野直県南広域振興局局長挨拶「ILCは県の計画の中でも1丁目1番地」
・飯沢匡県議挨拶「ILCの安全対策について議員で勉強会をした」「岩手・宮城合同で中央に出向いた」「住民との話し合い、住民の理解も大切」
■東京大学 山下了(やました とおる)特任教授講演
・ILCの計画は20年にわたるもので、いろいろ方策を探って来たもの。
・セルン(CERN: Conseil Européen pour la Recherche Nucléaire欧州合同原子核研究機構)スイスのジュネーブの物理学研究所はモデルとすべき大成功例。
・世界の国々の人が集まる場所として日本が期待されている。
・不安・批判の声も多く挙がっていることは承知している。
・ヒッグス粒子や、宇宙・自然の仕組みを究明しようとしている。
・これだけ国際的な大きな事業は日本初となる。
・2019年3月7日の文科省の見解は、8つの省庁を跨いで集約したものだった。
<具体的に省庁名も話された>
・マスタープランの件も含め、多岐にわたる詳細な計画と進捗状況が話され、パワーポイントで大きく映されたが、大量の文字で、前の方の席でもすべては読み切れず、説明も、かなり懇切丁寧ではあったが、聴き取れなかったり、理解しにくかったりした部分があった。【この詳細な計画は、資料としては配布されなかった】
・日米間では早くから協議されていて、米側からかなりの協力が得られる見込み。日仏間や日独間の協議も近く始まる見込み。経費その他の国際分担はこれから決定される。
・実験施設の建設開始は2024年の予定。その前に、課題への対応策を練ったり、住民の理解を得たりしなければならない。
・KEKが公的機関として動けるのでとてもよい。
・みんなで協力し相談して進めるのが日本のILC。中国の場合はトップダウン。
・2019年5月17日のグラナダ国際会議(*1)で、日本のILC計画に期待する方向に決まった。
・2019年10月、仙台で国際会議がある。 10月までのところが大きな山。
・地元の理解が重要だとみんな考えている。
・心配な点は直接ぶつけてほしい。
【山下了氏とのQ&A】
Q トリチウムの危険性が特に懸念されているが、大丈夫か?説明してほしい。
A 【トリチウムの性質について説明した後】一言で大丈夫と言うと、まやかしになる。絶対大丈夫と約束するが、これについては時間をかけて説明をしたい。
Q 安全基準をクリアしたら砂鉄川に放水するというが、その点について確認したい。
A 砂鉄川に放水することはない。放射化したものは、そうしない。
Q 心配している点があれば、話してほしい。
A 放射線については心配していない。ここでのILCとは違うタイプの実験については危険もあるが。 唯一、陽電子の熱を逃がすのが難しい。
Q トリチウム水の濃いのはタンクに、薄いのは放水するのですね。
A 違う。100%違う。原発は、地下水にトリチウムが混じって増えるから問題だが、ILCでは、実験器具内で発生するものなので、かなり違う。病院の医療機器で発生するものも全部、アイソトープ協会などで、ずっときちんと保管されている。
・他、地元2団体の活動発表については、翌日5月25日新聞記事(岩手日報、岩手日日)のとおり。
・最後に、決議文の採択があり、終了。
○今回の「ILC誘致推進大会」の印象
・参加人数は多かった。推進派が多数のような印象は受ける。
・推進派団体が各自治体や議員ら等に呼びかけて集客したかたち。商工団体・行政・議員など推進派の人々の「決起大会」であったが、ILCの種々の懸念材料や経済医療面等への波及効果等々について一般の住民が本当に十分な説明を受けて納得している上での大会開催とは言えず、また「大原まちづくりの会」でもなんの考えもまとまっていない状況なので、真に熱気に溢れた大会【運動】とは言えない、空疎な内実を含んだもののように思われた。
・今回の山下了教授のトリチウム等についての説明や今後の詳細な計画の説明、そしてグラナダ国際会議(*1)で「日本の計画の今後の進捗状況を見る」と決した旨の情報から、今後急速に日本は計画具現に向かって動くものと感じます。
・最低限、放射化物質等種々の懸念材料についての対応策を究明確認していき、地域に禍根を残さぬよう、今後も長い活動となりそうです。
<<ブログ管理者による追加>>
(追加ここから)
【用語の説明】
グラナダ国際会議(*1)
https://www.kek.jp/ja/newsroom/2019/05/21/1900/
KEKが立ち上げた、国際リニアコライダー(ILC)計画の国際分担のあり方等を議論する国際ワーキンググループの会議。第一回会合が5月17日(金)に、スペイン・グラナダで開催。去る3月7日、東京大学で開催されたリニアコライダー国際推進委員会(LCB)の会合で、ILC計画に関する見解が文部科学省から示されました。その中で、国際分担の在り方などについて、国内および国際研究者コミュニティの議論を進める国際ワーキンググループをKEKが主導することへの期待が表明されました。これを受けて、欧州から2名、北米から2名、アジアから3名(日本を含む)で構成される国際ワーキンググループを設立したもの。このワーキンググループは、ILC技術設計報告書の附属文書として公表されたプロジェクト実施計画の2015年7月改定版をもとに、以下の点を検討・更新する。
○建設費用、運転経費の国際分担に関する考え方について
ILC技術設計報告書のコスト積算に基づき250ギガ電子ボルト(GeV)ILC計画の建設コストについて検討し、(a)ホスト国として負担すべき事項と(b)国際パートナーと分担すべき事項に分け、建設モデルを提案すること。運転及び解体経費の分担モデルを提案すること。
○ILCを実現するための組織の在り方について
ILC研究所および同プレ研究所に係る体制及びマネジメントモデルを提案すること。
○残された技術的課題に取り組むための国際分担について
文部科学省のILCに関する有識者会議および日本学術会議所見にて指摘された技術的課題を解決するため、準備フェーズで行うべき、国際協力の可能性も含めた、技術準備計画を提案すること。検討結果は本年9月末までにまとめられ、KEK機構長に提出されます。また、同報告書は文部科学省に提出され、文部科学省と各国政府との議論の際に用いられる予定。
【用語の説明(ここまで)】
<<講演内容や回答に疑問>>(ブログ管理者による追記)
・2024年が建設開始予定だなど,今計画が審査中というのにそこまでよく言えるものだと思いました。
・病院ではトリチウムは使用していませんし,医療用の加速器(サイクロトロン)のPET治療でもトリチウムは発生しません。研究施設で発生するトリチウム汚染水は日本アイソトープ協会で引き取っていた時期がありましたが,今はどうなっているか不明です。長期間貯蔵保管しているとは聞いておりませんでした。多分薄めて放流していたのではないかと思います。もしくは紙に染み込ませて焼却するなど,乱暴なやり方で処理処分していたように思います。(水に流せないものは空へ流す方式です)
岩手日報 2019年5月25
岩手日日 2019年5月25日